スイートスキャンダル
お風呂上がりの火照(ホテ)った体のせいなのか、妙に緊張してしまって…


「髪、乾かそうかな」


出来るだけ不自然にならないように呟いて、洗面台に向かった。


すると、何故か当たり前のように後ろから付いて来た柊君が、鏡越しにあたしを見つめてニッコリと笑った。


「俺にやらせて下さい」


「へっ……?」


「貸して下さい。ね?」


柊君はあたしから取ったドライヤーのコンセントを差し込むと、スイッチを入れた。


あたしが拒否する前に手際良く髪を乾かし始めた彼に、どうすればいいのかわからなくなってしまう。


時々、鏡越しに柊君と目が合うと居た堪れなくなって、あたしはずっと俯いていた――…。


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