大嫌いなアイツ
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―――事件は今から2週間前、バイト中に起こった。
接客業をしていると客から絡まれることなんてよくあることで、この日もいつものようにうまくかわすつもりだった。
――――でも、簡単にはいかなかった。
「ねぇ、お姉さん。仕事終わったら俺たちと遊ばない?」
そう声をかけてきたのは、男二人組のお客さん。
見るからに、俺様で偉そうな態度。
でも、そんなこと私たちには関係なくて、お客さまはお客さま。
丁寧に対応しなければいけない。
「申し訳ありませんが、それはできかねますので…。では、ごゆっくり…」
「な?いいだろ?付き合えよ」
「いや、あの、申し訳ありません」
頭を丁寧に下げる。
…心の中で、『しつこいんだけど!』とイライラしながら。
でも、イライラしていたのは、私だけじゃなかった。