大嫌いなアイツ
*
「…よし」
戸締まり完了。
店からバス停に向かう。
空を仰ぐと、ポッカリと浮かんだ月。
空と地上を明るく照らす。
「あ。今日、満月だったんだ」
月の明るさで星はあまり見えないけど、真ん丸なお月さまは本当にキレイ。
今日は、月に願いを、かな。
……ほんの少しでいいから、吉野と話をさせてください。
なーんて。
柄にもなく乙女過ぎて笑っちゃうよ。
しかも、何を話すんだ、って話だし。
お疲れさまでした~
いつぞやは助けてくださって、ありがとうございました~
…………何で、キスなんかしたの?
何よりも、一番聞きたいことだ。
結局、真意はわからないまま。
―――バス停にもうすぐ到着するという時。
「――――――ほんと、トロいよな」
「へ…?」
聞き覚えのある声に、目を向ける。
月に照らされて立っているのは…
紛れもなく、吉野。