大嫌いなアイツ
 

「―――――なっ、何して…」

「ん?…忘れ物、取りに来た。」


拍子抜けする答えに、思考が一瞬止まった。


「あ…そ、そう。あっ、鍵…」

「―――いや。鍵はいらない」

「え?」


店に何か忘れ物してるんじゃないの?
じゃあ、何を…?


首を傾げる私に、吉野がゆっくりと距離を縮めてくる。


え、え、


「忘れ物。」


吉野が私を指差した。


「………忘れ、もの?私?」

「うん。」


笑いもせずに吉野は頷く。


……………意味、わかんない。


吉野の表情を窺うように、眉間に皺を寄せて、覗き込んだ。
その途端、吉野の表情が崩れた。


―――え。

 
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