大嫌いなアイツ
 

――――…


あの日から、目に見えて小林(ムカつくから呼び捨てになった)は岡部を追いかけるようになった。
しかも、俺と目が合えば、余裕の表情で笑う。
おまえにはできないだろ?…ってバカにしたような顔で。


それを見るたびにイライラとする俺。
小林に対してもだけど、自分に対しても、だ。
行動する勇気を出せない自分が情けなさすぎる。


でも、そんな姿を見ていて気付いたことがあって。
それは…


―――岡部は小林のことを好きではないこと。


小林に話し掛けられた時の、岡部のひきつった笑顔。
分け隔てなく誰にでも笑顔で接する岡部なのに(俺には笑顔を見せない事実はあるけれど)、あの表情だ。
きっと、小林の行動を快く思ってない、ってことだと思う。


小林には悪いけど、ホッとする俺がいた。






 
< 79 / 103 >

この作品をシェア

pagetop