想 sougetu 月
 何度も恥ずかしいことを言わされ、やっと満足したのか斎は私の右足を持ち上げて深く中に入ってきた。
 待ち望んだ感覚に、大きな声をあげてしまう。

 でも入れたものの動こうとしない。

「斎?」
「それで、どうしてほしい?」
「……」

 まだ私に言わせようとする斎に腹が立ってきたけれど、私は斎が欲しいのだ。
 言うことを聞くしかない。

「動いてほしい」

 それだけ言うと、ちゃんと動いてくれた。
 でもそれは緩慢な動きで、快感も弱いものになる。

「もっと……」
「もっと?」
「もっと……早く動いて……」

 ちゃんと言ったのに斎の動きは変わらない。

「いあ……どうして?」
「どうしてって? 月子のお願いを聞くかどうかは俺が決めることだ」
「そ……そんな……」

 恥ずかしい言葉もちゃんと言ったのに、欲しい刺激を与えられず泣きたくなってしまう。

「いあ……お願い……動いて」

 自分から動かそうとするが腰を押さえつけられそれもできない。

「なら自分でさわってごらん?」

 右腕を掴まれ、下へと導かれる。

「な……に?」
「俺が触っているように触ればもっと刺激が強くなる」

 斎の導きによって自分の手を股の間に押し付けられた。

 まさか自分で触れってこと?

「いあっ! で、出来ないよ」
「なら、このままだ」
「ふぇ……斎、お願い」
「だめ……」

 自分で気持ちよくなるように触るなんて出来るはずないのに斎はそれを許してはくれない。
 
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