想 sougetu 月
 ある日、大学から帰宅してみれば、私のベッドはダブルベッドになっていて机などがなくなっていた。

 驚いて斎の部屋に飛び込むと、そこに私の机などがあった。
 つまり、斎は私の部屋を勝手に寝室にしてしまったのだ。

 怒っている私を押し倒してダブルベッドの使い心地に満足し、結局部屋のことはうやむやにされてしまった。

 そう言えば、彼女が出来たと誤解した相手のことだけど、あれは斎を逆ナンパしてきた女の子に笑顔で冷たくお断りしていた時をおばさんに見られたらしい。
 斎に言わせれば「何をしでかすかわからない人が側にいるからよそ見する暇がない」そうだ。

 何をしでかすかわからない人とはもちろん私のこと。
 失礼きわまりない言葉だけど、遠まわしに浮気しないと言われて嬉しくないわけがない。

 私がそういうと、斎は真面目な顔で「俺は不倫はしない主義だ」と言っていた。

 その後、また押し倒されて嫌と言うほど斎の気持ちを教え込まれてしまったけれど……。

 斎は飽きないのかと思うほど私を求めてくれる。
 もちろん、経済的に安定するまではしょうがないと言ってきちんと避妊してくれてたし、いつも私のことをちゃんと考えてくれるその気持ちが嬉しかった。

 最近は今からこの家を出て行くかどうかでおばさんと揉めている。

 斎は最近、近くに引っ越してきた男性が私に興味があると思っているらしく、ここから早く出たいらしい。
 そんなことないのに、それに私はもう人妻だ。
 そんな人間に誰が興味を持つのだろうか。

 少ししか話したことのない私を好きになると思うなんて斎の勘違いにも困ったものだ。
 でも、斎のやきもち焼きがほほえましい。

 おばさんは私達を手放す気はないようで、私はおじさんと並んでソファーに座り、2人の喧嘩を見るのが日課となっていた。

 こうして私の日常は緩やかに、優しく過ぎていく。
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