想 sougetu 月
 私と斎はお互いの両親の承諾のもと、入籍だけ済ませて夫婦となった。
 いわゆる学生結婚をしたのだ。

 結婚式は斎が大学を卒業して社会人になって落ち着いたらということになっている。

 結婚したと言っても学生の身、恥ずかしいながら親のスネをかじるしかない。
 それでも斎は両親に頭を下げて、私との結婚を望んでくれた。

 私に手を出したことまで話してしまって、斎は殴られ私はおじさんから謝られてしまった。

 それだけならよかったのだけど、結婚したことによって私の姓が青柳 月子に変わった為に、学校の書類を変更したせいで学校中に結婚したことが知れ渡ってしまった。

 異常なまでにモテていた斎。
 当然、すさまじい嫉妬の嫌がらせがぶつけられた。

 シイナや川崎君が守ってくれたけど、風当たりはすさまじく強い。

 でも、薬指にはまっている指輪の存在が私を強くしてくれた。
 それでも時々へこんで帰宅する私を斎が優しく抱きしめてくれたから頑張れたんだと思う。

 最近の斎は勉強とバイトで忙しい。
 就職は、結局家業を継ぐことにしたようだ。

 バイトで稼いだお金は全て私の生活費として家に入れているらしい。
 私もバイトしようとしたけれど、斎に止められ妻として、家事の訓練を申し付けられてしまった。

 その代わり、斎が殆ど一手に引き受けてくれていた家事は今では全部私の担当だ。

 ほとんど斎に任せっきりだった料理の腕は、いまだに上達の兆しを見せない。
 そのことにめげていると、斎はすぐに気づいて私にキスをして愛の言葉を囁いてくれる。

 困るのはそこに誰がいても気にしないことだ。

 おばさんと視線があって笑われる度、いたたまれない。

 部屋もそれぞれの部屋があるのに、斎は私の部屋で一緒のベッドで眠るようになった。
 シングル用のベッドは、斎が一緒に寝るとすごく狭くて心配だったのだけど、そこはやっぱり斎だった……。
< 91 / 97 >

この作品をシェア

pagetop