~文明開花 恋い焦がれ~  序

私が寝ていたのは、
どうやら、店の二階にある和室のようで、
一階が店となっているようだった。

階段は店の奥にあって、
降りてすぐに話声が聞こえてきた。

「いや~、ここの物は素晴らしい!どこの霊物屋より、優れている!!
さすがです紫波さん!!」

「そりゃあ、うれしいなあ。なんなら、また今度なんか作ってやるよ、もちろん格安でな。」


「それはありがたい!
是非とも今度はアレを
作っていただきたい!」

「まかせな!おのぞみの
物を作ってやるよ!」

ガハハと威勢のいい笑い声が響く。

鷹麻さんは店の奥を隠すように下げてあるのれんをくぐって、店へと出ていった。
私も後を追う。

「紫波さん。起こしてきましたよ。」

紫波さんと呼ばれた人は振り返り、こちらを見た。

無精髭を生やし、着流しを
袖に通して、キセルを片手に持った、まあ、ようするにおじさんみたいな人がニカッと白い歯を出して私と鷹麻さんに笑顔を向けた。

「おぉ、起きたか!!
鷹麻もわざわざすまんなあ、」

「いえ!紫波さんの頼みなら何でもするんでいつでも言ってください!」

鷹麻さんの態度が
私に対する態度と違いすぎてある意味驚いた。

「頼りにしてるよ」

「は、はい。」

鷹麻さんの方を横目で
見てみたら、頭を掻いて
少し照れてた。

「んで、そこのお嬢ちゃんは大丈夫かい?」

「あっ、はい、大丈夫です!なんかご迷惑お掛けしたようで、本当に申し訳ないです…ありがとうございました!!」

「なあに、大したことはしてねぇさ。あのままはさすがに駄目だろうからってな。」

「まったくだよ。運んだのはこの僕なんだからな」

「鷹麻さんも本当にありがとうございます!」

「...まあ、暇だったし?
いいんだけどね」

一通りお礼を言い終えたら、それまで黙っていた
お客さんらしき人がこっちに寄ってきた。

よかった、この人は
普通の服だ。

スーツみたいな感じの服。
まあ、どことなく昔風ではあるけれど…

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