あぁ・・・うちな

『そうですか。』


これくらいしか書くことがなくて、うちはそっけない答えを書いていく。


「今回も、俺はまた女の子を傷つけてしまった。もう、二度と傷つけないようにしようって思ってたんだけどな。」


『奥さんですか?』


「いや、秋野のこと。」



先生が秋野、と呼ぶのはうちのことってことくらいわかった。


でも、その言葉の意味がわからへんかった。

傷つけたって、どういうこと?



「秋野、俺のことどう思ってた?」


先生の口から出た言葉がうちの心を揺さぶる。


「正直に言ってくれ。」


先生の目が真剣で、目を逸らすことができへんかった。



「先生として、見てくれてなかったんだ、よな?」


もう先生は気づいてるってこと。


それを遠回りにうちに言うてくれてる。



「秋野・・・?」



うちは右手に握りしめるペンを、紙に当てて、そっと書いていく。


もう、嘘をつく意味は、無い。




『先生のことが好きでした』



その文字を見て、先生は「うん」て言うてくれた。


「ごめんな・・・。俺がもっとちゃんと気づいてたらよかったんだ。秋野を苦しめたよな?」


その言葉が、うちの涙腺をどんどん緩めていく。



「本当に、すまなかった。」


先生がうちにむけて頭を下げる。


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