あぁ・・・うちな
「よぉ。元気してたんやな。やっぱり、へんか?」
「そりゃ、あんときのお前に比べりゃ、頭もかっこうもへぼいわな。」
勝利とあいつが話し始めた。
「お、隣のやつは・・・っお前!」
気づかれたっ・・・―――
「あぁ、こいつ。俺の彼女でサヤ、っていうねん。」
「サヤ?違うやろ、こいつは」
「やめてぇや。もしかして、実奈子と勘違いしてるん?」
勝利の口から出た知らない人の名前。
きっとうちをかばって言った適当な名前やと思う。
「俺も最初はそうやと思ったけど、よぉ考えたら違うやろ。髪もロングがショートになって色ももろに黒やろ?」
「そうやけど、そんなん言うたって」
「お前らは、俺の言うことが嘘やって言うんか。」
どすの利いた声で勝利が言うと、周りの輩が黙り込んだ。
待って?
勝利って、昔どんなヤンキーやったん!?
「・・・そうやな。勝利が言うことは、間違ってへん、よな。」
「当たり前やろ。お前ら、アホか。」
「すまんすまん。いやぁ、にしても・・・そっくりやな。」
そいつがうちに近づいて、俯いてるうちの顔を覗き込もうとした。
「おい。あんま近づいて見んな。」
とっさに勝利がうちをかばう。
それでも、うちの震えは止まらへん。
余計に悪化する一方。
うちの頭の中はあの時のことでいっぱいやった。
「勝利、もう喧嘩辞めたんか。」