あぁ・・・うちな

「よぉ。元気してたんやな。やっぱり、へんか?」


「そりゃ、あんときのお前に比べりゃ、頭もかっこうもへぼいわな。」



勝利とあいつが話し始めた。


「お、隣のやつは・・・っお前!」



気づかれたっ・・・―――


「あぁ、こいつ。俺の彼女でサヤ、っていうねん。」



「サヤ?違うやろ、こいつは」
「やめてぇや。もしかして、実奈子と勘違いしてるん?」


勝利の口から出た知らない人の名前。


きっとうちをかばって言った適当な名前やと思う。



「俺も最初はそうやと思ったけど、よぉ考えたら違うやろ。髪もロングがショートになって色ももろに黒やろ?」


「そうやけど、そんなん言うたって」
「お前らは、俺の言うことが嘘やって言うんか。」


どすの利いた声で勝利が言うと、周りの輩が黙り込んだ。



待って?


勝利って、昔どんなヤンキーやったん!?



「・・・そうやな。勝利が言うことは、間違ってへん、よな。」


「当たり前やろ。お前ら、アホか。」


「すまんすまん。いやぁ、にしても・・・そっくりやな。」


そいつがうちに近づいて、俯いてるうちの顔を覗き込もうとした。


「おい。あんま近づいて見んな。」


とっさに勝利がうちをかばう。



それでも、うちの震えは止まらへん。


余計に悪化する一方。


うちの頭の中はあの時のことでいっぱいやった。



「勝利、もう喧嘩辞めたんか。」


< 77 / 114 >

この作品をシェア

pagetop