あぁ・・・うちな
「へぇ、直々にお出まし?」
ハァッハァッ・・・
うちの前にはさっきの輩。
センターには、幸太を殺した奴。
「あんた、自分のクセ知らへんのやろ。」
そいつがうちに向かって話し出す。
クセ?
なんや、うちのクセって。
「あんた、容姿がいくら変わっても、自分の利き手を後ろに隠すクセは変わってへんねん。」
うちは恐る恐る自分の右手を見た。
クセって、自分では気づかへんもんやな。
今、気づいた。
右手をみようと思っても、確かにうちは背中側に右手を隠してた。
これが、うちのクセ。
多分、利き手は大事に守っとかへんと喧嘩ができへんって、体が思ってるんやろうな。
「勝利も腐ったな。女をかばうなんてな。」
「っ!」
「おいおい、そんな顔で睨むなや。お前の兄貴殺してもうたことは謝ったるから。」
こいつ、覚えてた。
ちゃんと、自分がしたこと覚えてたんや。
なら、ちゃんと頭下げて謝れや!
新で償います、ぐらい言えや!!
「っん!」
「なんや、さっきから。言いたいことあるなら言いや。」