home
はみ出しモノ



シャーーーッーーー。



『………とれへんし。』



あのあと、すぐにはなんか帰ることもできなくて


結局授業を受けて帰ってきた


そもそもわたしは不登校なんかじゃないし。





“久しぶりー!!“

“なにしてたーん!”




もしも もしも、あのとき   



きちんとわたしが

萌の気持ちを聞いてあげていていたら…

長い間学校を休まなければ…



こんなときはいつも頭の中にはそんな


“たられば“ が現れる。





『わたし、なにやってんだか』


結局、シャツについてしまったミートボールのソースは時間がたったからか、取れなくて。


まるでわたしの心みたいだ

いくら、たくさんの水をかけて洗い流そうとしてもとれないシミーーーー








『おまえなんか うまなければよかった』





なんで、今更………出てくるんだろ。



母親に言われた幼い頃の記憶が頭によぎった。



あの、長い期間学校を休んだのは 


両親の離婚が原因だ


毎日、毎日。怒鳴り散らす父


それに対し、甲高い声を荒げては抵抗する母親の姿。


理由はいつものこと


父親の浮気

それと昔から続けられた母やわたしに対する暴力。


だけどわたしは“それ”を口外することもなかった。


すれば父が周りの人達に嫌われてしまう気がしたから


母がただの被害者になってしまうから、だ。



『ん。今寝たから。うん、うん。わかった…すぐいく』



寝静まった父の姿を確認しては、母はどこかに出かけていた。



でも、それがなにを意味しているのか


小学生から中学生に足を進めるとともにそれを理解し、軽蔑した。




そんなとき

わたしの居場所があるのは友達。学校だった。




なのに



今はもう    ただの『はみ出し者』だ






< 11 / 12 >

この作品をシェア

pagetop