夜明け前


「奏音、ベランダなんて優し過ぎだぞ、玄関ロビーに捨ててやれ」


「…要さん、ここの玄関ロビーはベランダより環境がいいと思うよ」


「…そう言えばそうだな。……朔乃、お前が考えろ」


「……任せてください」


おぉ、怖。


「…姫ー、皆が俺をいじめるんだけど。ちーちゃん悲しい」


そう言えば、俺のお姫様はモゾモゾと顔を上げて俺を見てから、右側の三人の方を向いてこう言った。


「……ちーちゃん、私と一緒に寝ていいからね」


「………!」


…そう来たか、これはさすがに俺も予想外。


そして三人を一睨みして、まぁ威力は無いに等しいけど。


これまたツーンと反対側を向いた。


……予想外にしても、お姫様、お手柄でございますよ。


あの三人のショックを受けたあの表情、写メりたい。


「…姫は優しいね、俺幸せだよ」


そう言って、ねー、なんて姫と言い合って見せ付けてやれば、


「…ベランダなんて嘘だから、今までどおりでいいから、高度な冗談だから」


ピキピキ引き攣った笑みを浮かべる奏音。


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