夜明け前


「ふ、そうかそうか。よかったよ、仲良く出来そうだな?」


穏やかに笑いながら、そう言った啓太先生。


…出来る、かなぁ。出来たらいいなぁ。


と、考えていたその時。


「出来る出来る!」


「出来るに決まってるよー!」


「ん。当然」


「これからよろしく」


「よろしくぅ!」


「なんて呼ぼうか?」


「あ、席は?」


「ノート見せたげるねー」


「後でアドレス交換しよ」


そんな光景に、


「「………」」


私もさくも、びっくりして固まってしまった。


優しくて、暖かい。


こんなことって、あるんだ。


いつまでも目をパチクリさせている私とさくを見て、啓太先生も笑う。


「おい、皆、二人が固まってる」


…あ、本当だ。いきなりすぎた?テンションあがっちゃったから。大丈夫かなぁ。と、優しい呟きが聞こえてきて。


もっと嬉しくなる。


「…えっと、とにかく!これからよろしく!」


そう最初に言ったのは、可愛い可愛いクリクリくん。


「うん、よろしく」


さくも笑う。


「よろしく…ね」


私も笑う。


「「「「「「「よろしく」」」」」」」


皆が、笑う。


< 141 / 145 >

この作品をシェア

pagetop