夜明け前


ぅえ、やだー。


「あ、はい。…本城朔乃です。今日からよろしくお願いします」


…なんなの。さくってば、緊張するとか私のことは大物だとか言っといて、自分はあっさり自己紹介してるんじゃん。


むー。


「しゅー?」


…わかってるもん。


「…はじめまして。本城珠花です。…仲良くしたいです。よろしくお願いします」


そう言って、さくにちらっと視線を向けてみる。


おかしくなかった?と視線で聞けば、


大丈夫と言うように、目を細めるさく。


ホッと安堵の息を吐いて、さくに微笑んでから、皆に視線を戻す。


「………?」


なんだろう。皆の表情が、ポカーンとして見える。


「おい、皆どうした?」


耐え切れず、皆にそう尋ねる啓太先生。


本当、皆どうしちゃったのかな。


やっぱりおかしかったのかな。


「…いや、さぁ。なんか絵になるなぁ、なんて」


さっき私が可愛いと言ってしまった男の子が、頭をポリポリとかきながら照れ臭そうに話しだした。


「…そうだな。なんか、ずっと見てられる」


私達を誰かと聞いて来た男の子も、そんなことを言ってくる。


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