夜明け前


それが、私と鈴の始まり。


連れていってもらった温室は本当に素敵で、今では私もお気に入りのランチスポット。


「さっきの、珠花も張り切って返事してたでしょ」


そう呆れた視線向けてくる鈴に、だって、と言い訳をしてみる。


「今日のお弁当は、ちーちゃんが作ってくれたんだもん」


そう。藤乃宮学園は、お弁当か食堂。


私はお弁当。


いつもは、そーちゃんが作ってくれるんだけど。


今はお仕事で、海外出張中。


だから、要さんとちーちゃんが交代で作ってくれることになって、今日がその1日目。


私もさくも、食堂でいいよと言ったんだけど…。


『『いや、絶対に作る』』


そう言ってくれるから、甘えることにしたんどけど…、正直ちょっと不安。


「どんな風なのかしら。楽しみね」


「うん」


パカ


「!…わぁ」


「「可愛いっ!」」


猫さんだ!


そう。ちーちゃんがつくってくれたのは、なんとも可愛いキャラ弁。

しかも3Dの猫さん。リボン付き。


「食べるのもったいないや」


このまましまっとけないかなぁ。


「ちゃんと食べないと、千里さんが悲しむわよ」


う。それはそうだ。


「ん。ちゃんと食べないとね」


ちーちゃんに美味しかったって、ありがとうって言わないと。


「「いただきます」」


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