夜明け前


言ってしまっても、いいだろうか。


この、果たせない夢を。


「…母様?」


「…どう、したの?」


「…夢を、聞いてくれる?」


「…うん、聞き、たい」


「…さくの夢はね、」


「…俺の夢なの」


「…ん、大人になって仕事をしたら、家を建てるの。車も運転するよ」


「…うん」


きゅっと母様の手が僅かに動く。


「…しゅーの夢はね、大人になって仕事をしたら、色々な所に旅行に行くの。苦手な料理も覚えて、美味しいもの作るって」


「…うん」


母様の腕の中で、声と勇気と愛を振り絞って。


「「…全部、母様に」」


「…っうん。ありが、とう」


出来るならば、ずっとこの腕の中に。


出来るならば、笑いあったあの頃のままで。


お願い、私達を置いていかないで。


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