夜明け前
「…こんにちは!翔子です。朔乃くん、珠花ちゃん?いたら返事して?」
そう問い掛けても、中から返事がない。
「…本当にいないのかしら」
「…中入りましょう。奏音だけど、中入るよ!お邪魔します!」
「奏音さんっ!」
ずかずかと部屋の中へと入って行く彼の後ろを、急いでついていく。
「…ここが二人の部屋かな?朔乃、珠花、入るよ?」
―ガチャ
二人の部屋のドアを開けて中を覗けば、ベッドに眠る二人がいた。
「いた!よかった…」
「朔乃くん、珠花ちゃん…」
張り詰めていた気持ちの糸が緩んで、私も奏音さんも、その場に座り込んだ。
「―?だれ…?」
騒々しさに気付いた朔乃くんが目を覚ました。
「朔乃くん、おはよう」
「…翔子先生。…っ!先生!珠花が熱出しててっ、ひどくてっ…」
目を覚ました朔乃くんが、私を見るなり顔色を変えて縋り付いて来た。
「珠花ちゃんが?見せて」
朔乃くんの隣で眠る珠花ちゃんを見れば、苦しそうに顔を歪ませて、息遣いも荒かった。