わたるんといっしょ
荒唐無稽な好美の話も信じて、ひきこさんの話を知っている。出で立ちの奇抜さだけでなく、おぞましい凶器(刃)を持っているのであっては――
「あなたは、いったい……」
人らしからぬ人に、投げかけた。
「死神」
と呼ばれております、と恭しく頭を下げた胡弓こそが荒唐無稽でも、信じてしまうのはその雰囲気に呑まれてしまったからか。
夜の帷よりも漆黒が似合う女は、この世の人とは思えない。
下手をすれば、ひきこさんよりも不気味な存在だった。
故に、関わってはいけない。
ひきこさんと同じように、近づいたら、“連れていかれる”と思った。
「……っ」
後込みした足を止め、首を振る。
――渉くんを、助けなきゃっ。
決断に奮い起こされ、好美は胡弓と向き合った。