黄昏バラッド
私は今までのことを思い出して隣にいるサクを見た。
「私本当にサクに会えて良かった。ありがとう」
きっとこんなんじゃ言い足りないけど、ちゃんとサクにお礼を言えてなかった気がしたから。
「嬉しいけど……別れの言葉とかじゃないよね?」
サクがあまりに不安そうな顔をしてるから、思わず笑いそうになった。
「違うよ。ただ本当にお礼が言いたかっただけ」
数十分前まではサクと離れる選択をしようとしてたけどね。
これは私のわがままかもしれないけど、今はまだムリ。
まだサクの隣にいて、サクと一緒にいたい。
「はあ、良かった。ノラがそんなことを言うからちょっとドキドキしちゃったよ」
……ねえ、サクもそうでしょ?
私と同じ寂しがりやで弱虫。
「私がいなくなったら淋しい?」
「当たり前だよ。言わなくても分かるでしょ?」
うん、分かる。私も考えただけですごく淋しい。
でもね、多分いつかその日がやって来るよ。
だから最後にもうひとつだけ。
「私がいて良かったって思うことある?」
こんな私でもサクになにかを与えられてるの?
その言葉を聞いてサクが私の頭を優しく撫でた。
「あるよ。ノラに会って毎日思ってる。もちろん今も」
私もね、サクにいてくれて良かったって思うことがいっぱいあるよ。数えきれないくらいに。
ねえ、サク。
私たちは寂しがりやで似た者同士なのかもしれないね。
私はサクの傷が癒えるまでどんなことがあっても傍にいる。
だから、私の傷が癒えるまでは私の傍にいて。