意地悪なアイツ【完】



~唯 side~



人気が少ない朝の公園。

冷えきった手を手袋越しに温める。

どんなに擦っても
どんなに息を吹きかけても

ちっとも温かくなりゃしない。


季節は真冬。

手袋もマフラーもコートも手放せない一月



『もー』


子供がいじけたような声を出すと、
私の頭に何か温かいものが乗っかった。

頭に乗っている物を取ると…


「おねーさん、コーヒー好き~?」


街中に一人でいる女の子を
ナンパするように誰かが声をかけてきた…


『健人っ!!!』

「わりぃ~遅れて」


健人は顔の前で手を合わせて、
必死に謝っている。


そんなに遅れた訳じゃないのに、

悪いからってコーヒー買ってきてくれたりする優しいところも好きなんだ♪

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