【完】運命は罠と共に
私がはっきりしないことで、亜美は諦めたらしい。


自分から話題を少し変えてきた。


「今日は田中さんは?」


「亜美が来るから来ないでって言ってある。最近は週2、3日ここに泊まりに来てるからね」


「もう半同棲じゃん。ていうか、私の奈々が田中さんに奪われた様な気分になる」




この子は何を言ってるんだろう。


それを言うなら、私だって亜美を優に奪われた気分なのに。


あんまり私とばかり会ってると優嫉妬するんだよね。


苦情の電話が掛かってくることがあるからね。


優大好きな亜美にこのことを話しても、喜ぶだけだから絶対に言わないけど。




「何言ってんの。あんたには優がいるから、十分でしょ?明日、優喜ぶといいね」


「うん、私が作ったんだよ?喜ぶに決まってるじゃん」


どこからそんな自信がくるんだろうか。


でも、優は確実に喜ぶんだろうな。


私の作ったチョコレートも洋輔さんは喜んでくれるのかな?


今から緊張してきた。




2人で職場のことを話したり、そして亜美の話を聞いたりしながら、作業を進めた。


亜美の惚気にうんざりしたのは内緒の話。


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