【完】運命は罠と共に
彼女への罪悪感と、愛情で複雑な心境のまま、とりあえずシャワーを浴びることにした。


タバコのにおいを嫌う奈々、飲み会帰りの姿のまま彼女の隣で寝るなんて、出来るわけがなかった。


だから、彼女の隣に行くにはシャワーを浴びることは必要不可欠。


早く彼女のぬくもりを感じたい一心で、急いで行動した。


猛スピードでシャワーを済ませ、彼女と同じ布団に潜り込んだ。





だが……これは、なんのトラップだろうか?


本人はどんなつもりか知らないけれど、俺の理性を壊すのに十分な衝撃を与えてくる。


それも惜しみなく。


何が起こったかって?布団に入った瞬間に俺に抱きついてきたんだ。




「奈々?起きてる?」


起きてるのかと思ったが、返事が返ってくる様子はなく、眠っているようだ。


体の向きを変えようと、少し体を離すと、離れまいと更に強くしがみついてくる。


この状況に耐え切る自信は、全くない。


あれだけ愛おしさを感じたあとに、この状況だろ。


これで手を出すなって言われたら、苦行以外の何者でもない。


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