【完】運命は罠と共に
本音の始まり
首元の違和感で目が覚めた。


目を開けると、いなかったはずの洋輔さん。


いつのまに帰ってきたんだろう。


まだまだ眠いけど、今何時なの?


「…ん?……洋輔さん?……おかえり」


「ただいま」


私に覆いかぶさっていた体を起こしながら、クスクスと楽しそうに笑っている彼がいた。

って、覆いかぶさっている?


「……え?なんで?え?」


「んー、奈々が悪い。だから大人しくしといて」


そして、胸元に違和感を感じた。


……なんで、服着てないの?ちゃんとパジャマを着て眠ってたよね?




「やっと気付いた?」


久しぶりにこんな楽しそうな彼を見た気がした。


「何してるの?」


とりあえず体を隠そうと、布団を引き上げ……ようとしたけれど、阻止された。


いくら引っ張ろうとしても、逆に捲くられてしまう。




「何って、寂しがりな奈々を安心させようと思って」


本気で意味が分からない。


でも、寂しがりって、洋輔さん気付いてたの?


ずっと隠そうとしていたのに。


我慢できずに、冷蔵庫でアピールしたりはしてたけど。


冷蔵庫のチョコレート気付いてくれたかな?

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