【完】運命は罠と共に
槻木さんが今日は休みだった。


だからリハビリは担当じゃないスタッフにしてもらった。


たしか中川と名乗っていた。



「今日槻木さんは、看護師の金本さんと出かけてるみたいですよ。金本さんって分かりますか?」


お休みの槻木さんは何してるんだろうねって話から、急に金本さんの名前が出てきて俺の心臓は激しく動き始めた。



「俺の主治看だから分かるよ」


「田中さんってラッキーですね。主治看金本さんでリハは槻木さんとか、この病院の人気ツートップじゃないですか」



予想はしていたけれど、今あまり聞きたい話題ではなかった。



「あの2人仲いいみたいで、最近金本さんと槻木さんがよく2人でリハ室にいるんですよ」



この後も男性スタッフは色々としゃべっていた。


どうやら、あの2人はリハ男性スタッフの目の保養らしい。


そして俺が聞き捨てならなかったのは、



「金本さんがリハスタッフの誰かに気があるんじゃないかって噂があるんですよね」



そんな言葉だった。


確かにあの2人が一緒にいると華がある。


それは理解している。




けれど、今の俺にとって気分を落ち込ませるだけの話だった。

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