私を壊して そしてキスして

「お前、入ってきたとき言ってただろ? 家族の誰も吸わないから苦手だって」


そんなこと、言ったんだろうか。自分でもよく覚えていない。
嫌いなのは確かだけど。

ふっと笑ってそれをもみ消した彼は、私が寝ていたベッドの端に腰掛けた。


「ここ、俺の部屋。お前、ぐっすり眠ってたから、起こしたくなくて」

「えっ? それじゃあ、柳瀬さんが運んでくれたんですか?」

「あぁ」


何だか夢見心地にフワフワしていたのは覚えている。

だけど、酔っぱらった上にそれほど深く眠っていたなんて。
それに、恥ずかしすぎる――。



「すいません、私――」

「なぁ、何があった? 
お前、痩せただろ。それに少し前から眠ってないように見える。
普通じゃない」


まくしたてるようにそう言った彼は、私の顔を覗き込む。



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