私を壊して そしてキスして

私をその場に残した彼は、さっきのメーカーさんのところまでいって、勝手に話を進める。


「失礼しました。来週でいいですか?」


すっかり猫なで声のその人に唖然とする。
そして、急に機嫌がよくなったもう一人にも。


「あのっ、私はお受けするとは……」

「私の誘いを断るのか?」


控えめに口を開いた私を、メーカーのオヤジが睨む。


「失礼しました。必ず行かせますので。
来週の金曜でいいですか? 場所はいつもの店で?」


私は何? 接待要員なの?


「私は……」

もう一度口を開こうとした私の前に、営業部の人が立ちはだかって、オヤジを促して出て行ってしまった。



< 165 / 372 >

この作品をシェア

pagetop