私を壊して そしてキスして

私は、必要最小限のものしか、持ち出さなかった。

できれば、今までの自分をすべて捨ててしまいたかったから。

洋服一つだって、それを着て、靖司と出かけたデートを思い出してしまうから――。

もう全部忘れたい。
新しく生まれ変わりたい。


家から少し離れたところに止めてあった車へ向かう途中、歩けなくなってしまった。

見慣れた、車を見てしまったから――。


少し前まで、その助手席は私のシートだった。
だけど、そこから出てきたのは……。


「愛希……」


思わずついて出た言葉も、彼は聞き逃すはずなんてなくて。


そして、愛希の隣に立ったのは……。



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