私を壊して そしてキスして

その言葉をきっかけに、涙が止まらなくなってしまう。

幸せ……なんかじゃない。
むしろ、地獄に突き落とされた私。


だけど、誰にも言えなくて、今日まで来てしまったから。


「菜那――」


彼のため息交じりの彼の声が、私の下の名を呼んだ時、全身に鳥肌が立ってしまった。

彼が、菜那なんて呼んだのは、今日が初めて――。


「キス、していいか?」

「えっ?」


その言葉に驚いて顔を上げると、すぐに塞がれる唇。

柔らかくてほんのり苦くてビールの味がするそれに、一瞬で堕ちてしまった。




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