バイナリー・ハート

7.歓喜と落胆


「ロイド、起きて」


 寝室の扉が開き、ユイの呼ぶ声が聞こえた。
 いつもは階下から大声で呼ぶのに、どういうわけか今朝は、部屋まで呼びに来たようだ。

 元々、甘い香りで目を覚まし、目を閉じたまま頭の中に浮かんでくる、とりとめもない事をぼんやりと追いかけながらゴロゴロしていただけだ。

 ロイドは身体を起こし、枕元に置いてあったメガネをかけて、入口に立つユイを見た。


「おはよう。どうした? 部屋まで来るなんて」


 壁の時計を見ると、いつもより十分は早い。


「おはよう。ちょっと話したい事があって……」


 ユイは曖昧な笑みを浮かべて歩み寄り、ベッドの縁に腰掛けた。

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