バイナリー・ハート
自分で考え行動し、感情を持ったロボット。
そして絶対命令がインプットされていない。
違法となるそれを、科学技術局の局長であるロイドが、許可するわけはない。
ランシュは止められても、開発を止めなかったのだろう。
なにしろ命が尽きる前に、夢を実現したかったのだから。
ロイドはランシュを止めるために、免職にしたのだ。
「多分オレじゃなくて、ユイだったとしても、先生は同じ事をするよ」
冷たい瞳で見つめるランシュに、結衣は少し笑って頷いた。
「うん、知ってる。ロイドはそういう人よ。頑固で職務に忠実で、絶対誰にも言わないからって言っても、私には局の事を一切話さないの。私だけ例外にはならないと思う。だから私は、ロイドが局の事で悩んでいても、何の力にもなれない。それが悔しくて、時々落ち込んだり、泣いちゃったりするけど、それはロイドのせいじゃないし、それでもロイドを愛しているの」
ランシュは辛そうに顔を歪めて、絞り出すように言う。