バイナリー・ハート
固まっていた身体の力を抜いて、ランシュはクスリと笑った。
「かなわないなぁ、ユイには。どうしてバレたんだろう」
「私を騙そうなんて、百万年早いのよ」
「じゃあ、ユイが生きている間、オレはユイにウソはつけないね」
ランシュは益々おもしろそうに、クスクス笑う。
「そうよ。もっとずっと生きていて。ロイドに頼んであげるから」
「それでも先生は、義務を果たすよ。そういう人だって、ユイも知ってるでしょう?」
「だってイヤよ。ランシュは生きているのに」
たとえ身体が違法なロボットでも、ランシュには人と同じ心があって、生きている。
心の器である機械の身体を、処分するという事は、彼の死を意味する。
ランシュは結衣を、そっと抱きしめ返した。