バイナリー・ハート
 ロイドは開き直って、ユイに忠告した。


「あぁ、ヤキモチだ。あいつに気を許しすぎるな」
「はいはい」


 案の定、ユイは緊張感のない返事をする。
 それでも全く無防備でいるよりはマシだろう。

 気を取り直して、ロイドはユイを抱き上げた。


「よし、早速お仕置きだ。おまえ、明日は休みだったな」
「あなたは仕事でしょう?」


 自分から求めておきながら、尚も悪あがきをするユイに、ロイドはニヤリと笑う。


「そんな事は問題にならない。おまえが要求したんだ。気絶するまで可愛がってやるから覚悟しろよ」

「……え……」


 そのままユイをベッドに横たえ、ロイドは覆い被さるようにして口づけた。

 ひとまずユイに忠告を与える事はできたが、不安が全て拭い去れたわけではない。

 そんな自分のせいで、ユイも何か思い詰めているらしい事はわかる。

 だが今は、ユイの求めるままに、ユイに溺れて、それを忘れていたかった。

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