騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
「初めまして。わたしは本社からやって来た加藤麻菜と言います。これからよろしくお願いします」
わたしが頭を下げて挨拶すると、秀ちゃんは複雑な表情を浮かべた。
「……仲森秀平(なかもりしゅうへい)、です。よろしく」
やっぱり……やっぱりわたしは……
わたしはここへ戻ってくるべきではなかったんだ。
ここへ戻って来て秀ちゃんに会わない可能性の方が低いことは分かり切っていたのに。
わたしは秀ちゃんに辛い顔させることしか出来ない。
ほら、現に今だってこんな泣きそうな辛そうな顔してる。
こんな秀ちゃんはもう見たくなかったんだよ……
「あっ、そうだ。仲森を加藤の教育係にしよう」
「えっ……」
秀ちゃんがわたしの教育係……?
それは……それだけは……これ以上秀ちゃんと関わりたくないのに。
「加藤はアメリカ暮らしが長いし、接客業に就いたことないらしいんだ。だから仲森、よろしく頼むよ」
「分かりました」