騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
秀ちゃんが早くしないと置いてくぞと付け加え、彼の言ういつものところへ向かった。
「いつものとこってやっぱりここだったんだ」
秀ちゃんの言ういつものところが、昔この仲間でよく行っていた高校近くのマックだった。
「潰れてなくて良かった……」
ポツリと呟く秀ちゃんに、わたしたち全員が反応した。
「秀ちゃん!知らなくて連れてきたの!?」
悪びれもなく返事をした彼に、やっぱり計画性がないなと改めて感じた。
そして、懐かしい気持ちで中に入り、それぞれいつものを頼んだ。
「7年ぶりにかんぱーい!」
威勢の良い春菜の掛け声に置いていかれないように、慌てて飲み物を手に取ったわたしたち。
周りには若い学生さんばかりなのに、社会人4人が中でも一番盛り上がっていたかもしれない。
7年も会っていなかったのに。
そんな時間なんてなかったかのように。
制服を着たあの頃に時間が戻ったようだった。