騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
2.彼女の恋愛事情
「じゃあ、俺たち行くけど。麻菜たちは本当にいいのか?」
「うん、私たちはいいのよ。久々に女二人で麻菜の家で飲むから」
もうすぐ引っ越しをするからという理由で、先輩の家にわたしと春菜もお誘いを受けていたのだけれど。
春菜の希望で、わたしたち二人だけで飲むことになったのだ。
「じゃあ、麻菜あとで」
「うん、今日はわたしが行こうか?」
「いいよ、俺が行く。終わったら、そのまま行くから」
「うん、分かった」
優しく微笑んだ秀ちゃんが、わたしの頭を軽く撫でると。
そのまま先輩と並んで歩き始めた。
「じゃあ、加藤またなー。今度は新居にも遊びに来いよ」
「はーい!ぜひ行かせてくださいねー!」
少し振り向いた先輩にわたしも手を振り返すと。
隣で春菜が大きな声を上げた。