騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
突然そんなことを聞かれて、戸惑ってしまった。
ジョンが帰ることになれば、わたしもアメリカに帰ることになる。
ずっとそう思っていたから。
「わたしも時期が来たら、アメリカなんでしょう?どうしたいってどういうこと?」
「僕もそうだけど、クラウドさんも麻菜が本当は日本で働きたいことを知っていてね」
「え?そうだったの……」
「これも何かの縁だし、麻菜がここに残りたいって言うなら、残ればいいって言ってくれたんだ」
「そう、あのクラウドさんが……」
「だから、考えておいて。ここに残るか、それとも向こうに帰るか」
わたしはまた一つ大きな問題を抱えてしまった。
わたしにはここ数年で築き上げてきた向こうでの生活もあった。