大地主と大魔女の娘
「どうして食事を取らない。口に合わないとでも言うのか」

「ええと。そんな事はございません。ただ、あの、こんなに豪華な物を、私が食べて良いのかと恐れ多く感じるのです」

 先に食事を終えられた、地主様の表情が険しくなる。

 重苦しいため息と共に、また何を言い出すのかと問われた。

「誰かに何か言われたのか?」

「いいえ」

 そうとしか言えなかった。言えるわけが無い。

「ならば変な遠慮などせずにしっかり食事を取れ。おまえはまず、真っ当な生活を送れるようになるのが仕事だ」

「はい、地主様」

 意を決して、恐るおそる匙を口に運んだ。

 何とか飲み込む。

「げほっ、げほっ……っ」


 やはりむせてしまった。

 クルシイ。

 情けなくて涙が滲む。


 
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