大地主と大魔女の娘
成長に回せるほど栄養が足りていないのだろうというのは、一目瞭然だった。

 元よりか細すぎる手足に、頼りない胴回り。


 眼下は落ち込み、頬だってこけ削がれている。

 それがこのひと月の間での、彼女の心労具合を指し示す物差しだ。

 この少女の祖母こと森の魔女が亡くなったという訃報は届いていた。


 残された孫娘が泣き暮らしているという話とともにだ。

 ただ泣きじゃくるだけで、

 
 食事はおろかろくに睡眠も取らずただ泣き暮らしているという。


 そのうち溶けてしまうのは時間の問題だと。

 嫌に大仰ぶって伝えてくる側仕え達に腹が立った。


 あまりの鬱陶しさに根負けしたのと、売り言葉と買い言葉の果てに、件の家を訪れるはめになったというワケだ。

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 そして知った。

 何も大げさではない話だったと。


 ただ寝台に身体を預けたまま、涙を流し続けている姿はただの精巧な人形が涙を流しているようにしか見えなかった。


 従者が慣れた足取りで少女へと歩み寄る。


 ただその後に黙って続いた。
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