大地主と大魔女の娘


抱えられたまま、おかみさんのお店に戻った。

 さっき案内してもらった、お店の奥の部屋に皆でお茶を飲んでいる。

 何ともいえない雰囲気だった。

 地主様とスレン様とが増えただけで、部屋が狭く感じる。


「そう。フルルはここのおかみさんの所で、住み込みで働くんだ?」

「はい!」

 こくこくと頷く。


「何をして働くの?」

「えっと、お菓子や飴を売りに行ったり、色々。できる事、全部です!」

 決意も新たにそう力強く言いきった。

 地主様が見ている。

 しっかりしなくては、いけない。

 なるべく、気を強く持って言い切ったつもりだ。


 その途端、スレン様とやらはものすごく綺麗に笑った。

 寒気がした。

 嫌な予感が身体を貫く。この感覚は見過ごしていい物ではない!

 一刻も早く、引かねばならない。

 本能がそう告げてくる。

「そう。ボクは毎日、買いに行くとするよ」

「……いえ」

「何? 未来のお得意様を拒否しちゃうの?」

「い、」

 手を掴まれた!

 それだけで冷水を浴びせかけられたかのように、凍りつく。

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