「…ねぇ、和ちゃん?」




お昼休みに中庭で一緒に お弁当を食べていた凛が、

ぼーっ と していた和を心配して、声を掛けた。






「あっ…ごめん、何?」




慌てて聞き返す和に、凛は躊躇いがちに口を開く。






「和ちゃんの気持ちは分かるんだけど…、

忘れる事も大事だよ?


″忘れて良い事″って訳じゃない けど…。


でも、

忘れなきゃ前に進めない事も、あるし」




「うん…」




どうやら凛は、和が貴史に惹かれている事を知っていて、

諦めさせよう と しているのかも しれない と、和は思った。





< 21 / 178 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop