「ムニー先輩から聞いたって…

何を……?」




更に そう訊いた和に、

凛は また溜め息を吐きながら、言った。






「……和ちゃんは何か一人で悩んでるのかも しれない って。


そんな和ちゃんを一人にして おくのは心配だって。


…でも、自分は理由あって和ちゃんの側に居られないから、

代わりに私に居てやって欲しい…って、言ってた」




「先輩が、そんな事を…」






「…言ったでしょ?


先輩は″良い人″だって」




凛に他意は無いと思うのだが、

その言葉が和の胸に突き刺さった。


凛が全てを知っていて、言っている気さえした。


…そんなに″良い人″を傷付けた和を、

内心では責めているのでは ないか、と…。






「…………蓮 先輩はね、

ずっと和ちゃんの事が、好きだったの」




和が黙りこくって居ると、凛が唐突に話し始めた。


静かな口調だった。






「…一目惚れ…、したんだって。


たまたま私と二人で居る所を見掛けて、

私と仲良いんだろう って思ってたとこに、私がバイト先に入って来たものだから…、

先輩 喜んじゃって。


″和ちゃんと仲良く なりたいんだけど…″って、

私、バイト先で ずっと、先輩の恋愛相談みたいなの、受けてたの」




「うん…」






「で…、ある時 先輩が、

″和ちゃん、好きな人とか居るんかなぁ?″って言ったから、

私、満くんの事 話したんだ。


和ちゃんは好きな人 居るけど、

その人が急に何処かに行っちゃって、今は その事で落ち込んでる って。


だから立ち直るまで、まだ誰も その隙間には入れない、って言ったの。


…先輩にも、無理だって」




「…うん」




静かに話し続ける凛。


和も、相槌を打ちながら、凛の話を静かに聞いていた。





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