…どの位その場に居たのだろう…


突然、

″もしかしたら貴史は例の病室に行くのでは…″という考えが、

頭を掠めた。




貴史は よく教室に一人で残っていたが、

それは もしかしたら、下校中の生徒達に、

病院に行く姿を目撃されたくなかったから、ではない…だろうか…。


和と一緒に帰った時、クラスメイトに堂々と病院の話を したのは、

授業中に抜け出してまで

ファンクラブの女の子達は追い掛けて来ないと、思ったから…かも しれない。




そうだと すると、

また一人で教室に残って居た今日、

貴史は病室に行くのでは ないだろうか…。


貴史は、和に対しては なぜか何の警戒も していないよう で、

病院の場所も、知り合いが入院している事も、話していた。


ファンの子と違って、

和にはストーカーされたり しないという、安心感を持っていたのかもしれない。






…″行くしか ない″と、思った。


行ったから といって、

何が どうなる訳でも なかったかも しれないが、

このまま教室で じっと しているよりは、

数倍もマシに思えた。





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