花
暫くして和は、
香澄を観察してしまい、すっかり忘れていた本題を、
慌てて切り出した。
「あのー、今日は宗谷くんは…?」
恐る恐る訊いてみると、
香澄は相変わらず にこにこ と、笑いながら言った。
「あー、貴史?
貴史は まだ来てないよ。
いつも来ると したら、この位の時間には来るんだけど…ね」
「どこに居るか、連絡ありませんでしたか!?」
「いやー……、
よっぽど何か あれば別だけど…、
そんなマメに連絡 寄越さないよ、奴は 笑」
「……そ、そうですか……」
和が切羽 詰まった様子で訊いた所為で、
香澄は少し狼狽えたよう だったが、
暫くすると和を落ち着かせよう と 思ったのか、
穏やかな調子で こう言った。
「…そう言えば…
和ちゃん、貴史と同じクラスなんだってね」
「…え?」
「貴史が言ってた。
……………。
…和ちゃん、貴史の事…
心配してくれてるんだね」
偶然なのか…先程の教室での貴史の台詞と同じような事を言って、笑う。
和は なぜか、香澄に全てを見透かされている気が…した。