白いジャージ9 ~最終章~
「かっこいいのに、真面目で硬派だった。仲良く話はしてくれるけど、連絡先も聞いてくれないし、掴めそうで掴めない感じだった。一緒にいて楽しかったからかな。私にないものをたくさん持っていて、私は真面目じゃなかったけど、和人を知ってから変わりたいと思った」
目を細めた江美さん。
少し微笑みながら話を続けた。
「やっと付き合うことができたんだけど、きっと和人はそんなに私を好きじゃなかった。私は無理してたんだよね。和人に似合う女になろうって仮面をかぶっていた。だから、疲れていたのかもしれない」
江美さんは大きく息を吸って、空を見上げた。
そして、私の方を見て言った。
「寂しかったの。言い訳にならないけどね。和人の愛よりも私の愛の方が大きくて、不安で不安で。それで、他の男性を好きになった」
大きくて、綺麗な目。
吸い込まれそうだった。