白いジャージ9 ~最終章~
「ありがとう。豪太。本当に、いろいろありがとね」
「最後みたいなこと言うな。これからも、何か悩んだら相談に乗るし、連絡して来いよ」
豪太は、そう言って、やっと私の目を見た。
そして、今度は顔を少し近付けて言った。
「別に、お前のことまだ好きなわけじゃない。好きになった女だから、幸せになって欲しいだけだから。警戒すんなって」
豪太は、本当にイイ男。
先生に出会っていなかったら、きっと好きになったんだろうな。
「俺も、ちゃんと将来のこと考えようかなって、思うよ。お前を見てると」
「結婚するの?」
取引先で働く女性と付き合っていることは知っている。
豪太はどんな彼氏なんだろう。
「彼女は結婚したいみたいだけどな。俺はまだ先かなと思ってる。それまで待ってくれるといいけど」
「大事にしてるんだね、彼女のこと」
ずっと聞きたかったけど、聞けなかった。
彼女のこと。
「俺は、あんまりいい彼氏じゃないからな。ほったらかしにするし、デートも適当だし」
「でも豪太の彼女って幸せだろうなって思うよ」