白いジャージ9 ~最終章~





「ありがとう。豪太。本当に、いろいろありがとね」





「最後みたいなこと言うな。これからも、何か悩んだら相談に乗るし、連絡して来いよ」





豪太は、そう言って、やっと私の目を見た。



そして、今度は顔を少し近付けて言った。






「別に、お前のことまだ好きなわけじゃない。好きになった女だから、幸せになって欲しいだけだから。警戒すんなって」




豪太は、本当にイイ男。



先生に出会っていなかったら、きっと好きになったんだろうな。






「俺も、ちゃんと将来のこと考えようかなって、思うよ。お前を見てると」




「結婚するの?」




取引先で働く女性と付き合っていることは知っている。




豪太はどんな彼氏なんだろう。




「彼女は結婚したいみたいだけどな。俺はまだ先かなと思ってる。それまで待ってくれるといいけど」




「大事にしてるんだね、彼女のこと」




ずっと聞きたかったけど、聞けなかった。



彼女のこと。




「俺は、あんまりいい彼氏じゃないからな。ほったらかしにするし、デートも適当だし」




「でも豪太の彼女って幸せだろうなって思うよ」





< 244 / 304 >

この作品をシェア

pagetop