Lonely Lonely Lonely
えっ、どうしても?
どうしてもと言うなら、ざっとね。
初恋は、小学校一年生の時。相手はケンイチ君。
隣の家のお兄ちゃんで、六年生。
もちろん、片思いだった。
その頃の5歳差というのは、さすがに大きすぎて、私でも乗り越えられない壁だった。
今では、5歳差なんて、上でも下でも、なんてことないのにね。
お兄ちゃんは、班長さんで、毎朝集団登校の時、一番チビだった私の前を歩いていた。
三人兄弟の長男だから、妹が欲しかったんだと、言ってた。
そのせいなのか、とても優しかった。
そして、カッコよかった。私は、ひとりっ子だから、余計にそう感じたのかもしれない。
自然と、私は、「お兄ちゃん」と呼ぶようになっていた。
そう呼ぶと、お兄ちゃんは、
「はいはい、、なんだ?」
と、振り返ってくれた。
特に用もない私は、ちょこちょことお兄ちゃんの隣に行って、手を繋いだ。
「なんだ~?甘えん坊だな」
「なんだか疲れたの」
と、小1とは思えないセリフを口にすると、
「まったく、生意気な口ぶりしちゃって。こんなちっこい手えしてるくせに」
ぎゅっと握ってくれたお兄ちゃんの手は、温かかった。
そんな、お兄ちゃんとの楽しい登校も一年限り。お兄ちゃんが卒業してしまうと、
家が隣とはいえ、小学生と中学生では、生活の時間帯が変わってしまったため、めったに顔を合わせることもなくなってしまった。
私は、この初恋で、「甘える」ということを覚えた。
注:男に、限る。