4月1日の偶然少年A。

「ううん、この子はハーフだよ。
お母さんが日本人で、お父さんが外国のひと。」


俺は写真をじっと見ながら言う。


「なんでこの子だと思うんだ」


すると琴葉は後ろからするりと違う写真をだして
それを俺に手渡してきた。


そこにうつるのは同じ女の子だ。
けれど2枚目の写真のその子は1枚目と違いひどく暗い顔をしていて。


「…どういうこと?」


空がそう聞くと琴葉はうなずいて答えた。


「この子は神上リリ。昨日ネット上で見かけたんだけどね、
外国で紛争にまきこまれてそれで一人で日本に来たらしいの」


よくわからなくて俺は少し首をかしげる。

琴葉は補足するように続ける。


「なんでも、違法に飛行機にのりこんできたらしいの。
それに紛争にまきこまれた現地では子供とは思えないくらい強くて、
子供を使った人身売買のやつらを一人で蹴散らしてたんだって。」


空は考えた。
つまりは琴葉は俺と同じパターンだと思っているらしい。


ありえないことが起こっているところに何かあるかもしれない、と。


空は立ち上がると、言った。


「ハズレでもいいから当ってみるしかないな。
それしか方法がないんならそれをするしかない。」


神上リリ捜しがこうして始まった。


なぜだかわからないが、あの子は…いや、全員がすぐ集まる気がした。


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