シュガー&スパイス


「千秋のお店って……ここ?」

「うん」




――――……カラン



かわいい鐘の音がして、優しい木の枠で縁取られたモザイクガラスの扉が開いた。




「どうぞ」




扉を開けてあたしをお店に招き入れた千秋。
目を細めて、コトリと首を傾げた。



ここって……。

立ち込めるシャンプーの香り。

ここって……、



「美容室?」



呆気にとられるあたし。
千秋と言えば、そんなあたしを見て面白そうに口元を緩めた。



「菜帆に会えてよかった。 今ちょうどカットモデル探してたんだ」

「え、カットモデル?」

「うん、ほら、ここ座って」

「で、でもあたし……髪切る予定とか……」




思わず後退り。

でも、その足はすぐに止まってしまった。

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